10月20日
A子夫婦は、いま、離婚の危機だ。
二人で、どちらが先に離婚だと言いだしたかで争っている。
A子は、夫が「出て行け、お前とはもう離婚だ」と言ったのが先だと言う。
夫は、それは喧嘩した時の売り言葉に買い言葉で、離婚届を用意してテーブルの上に置いておいたA子の方が先に離婚を言い出したのだと言う。
お互い「お前が先だ」、「あなたが先だ」と言い争っているが、実はこれは法律的には意味のない争いなのだ。
A子夫婦は、先に「離婚だ」と言い出した方が慰藉料を払わなければならないと思い込んでいるらしい。だからこそ、どちらが先だと真剣に言い争っているのだ。
しかし、離婚の慰藉料を支払うのは、離婚の原因を作った方なのだ。
A子の話を聞くと、夫は、A子が家事を満足にしないと罵って、帰宅すると細かい所まで掃除したかチェックし、給料の使途にも目を光らせ、いちいち領収証と出納帳を照合してA子の無駄遣いを指摘するので、とても耐えられないと言うのだ。
しかし、これだけで離婚の原因になるかどうかは疑わしい。まして、慰藉料を請求できる程の有責性があるかどうかとなると、もっと疑わしい。
きっと、夫の方はA子の家事の怠慢をあげつらうだろうが、もし、二人がどうしてもやっていけないというのなら、慰藉料のやりとりはなしで離婚することになるのかなぁ。