3月10日
一〇年前の依頼者A子が来た。
A子は、夫から愛人が出来たので離婚したいと訴えられたが、和解で当分の間別居すること、その間の生活費の額を決めて毎月振り込んでもらうこと、夫名義の家にA子及び子どもたちが居住することを認めることを取り決めたのだった。
それが一〇年経った今、夫は会社を退職し、愛人にも捨てられ、借家に一人暮らしをしているという。そして、A子に「よりを戻したい」と言って来たという。
A子は、夫を愛人に奪われた一〇年前は深く傷つき、涙を浮かべて「私のどこが悪かったのでしょうか」と嘆いていたが、その後、娘たちが成長して、会社勤めをし、台所を手伝ってくれたり、外食したり、時には母娘三人で旅行をしたり、すっかり楽しい時を過ごしているという。そうした時に、いまさら夫から戻りたいと言われても…と困惑しているのだ。
私は、退職金の半分とか、同居した場合の家事分担とか、いろいろ条件を出してみたら、とアドヴァイスしたが、夫は、自分が今でも妻子に受け入れられると思っているのだろうか。
菊池寛の「父帰る」ならぬ、現代版「夫帰る」である。
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