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2013年8月10日(土曜日)

8月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 16時40分38秒

 「海賊と呼ばれた男」で本屋大賞を取った百田尚樹氏が、最近「夢を売る男」を出版した。

 本を出したい人の自費出版、あるいは出版社と費用折半のいわゆるジョイントプレスの裏事情などを小説にしたものだが、文芸新人賞に自信作を応募して、惜しくも選にもれた人に対して、小説の主人公である出版社の部長は、なぜもれたかを説明するのではなく、
 「私はこの小説は、ヒロインの生き方を斬新な文体で表現した稀に見る傑作だと思いました。絶対に新人賞を与えるべきだと選考委員会でも力説したのですが、他の委員の賛同を得られなかった。奴らの目が曇っているのだ」と、時には悔し泣きをして見せることもある。
というくだりがある。

 私は、受任した事件が裁判で敗訴すると、裁判官に対して、こちらの主張がいれられなかったのは、主張の仕方のどこが悪かったか、あるいは証拠でどこが足りなかったか、依頼者に説明にこれ努めてきたが、この小説を読んで、以前、先輩弁護士のしていた話を思い出した。

 その弁護士は、事件で負けると、依頼者に、「こちらの言っていることはすべて正しくて勝つはずなのに、それがわからない裁判官は能無しだ。地方裁判所の裁判官はレベルが低いから、控訴して高等裁判所の裁判官に判断してもらいましょう」と言って控訴し、控訴審でも負けると、「あぁ、日本の裁判には絶望した。裁判官は全く一般常識を欠いている。だから裁判員制度を取り入れたのだ。こうなったら、民事事件にも民間から裁判員を入れるべきだ」などと、依頼者と一緒になって憤慨するそうだ。

 しかし、こんなことができるのは、よほど大物の弁護士でないとダメだ。私には、とてもとても……。


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