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2007年3月10日(土曜日)

3月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 05時23分03秒

 一年に一回の仙台弁護士会の定期総会では、いくつかの決議をあげる。

 決議をあげるためには、もちろん討議をする訳だが、今年、特に賛否分かれて議論したのは、犯罪被害者を刑事裁判に当事者として参加させることの是非である。

 政府は、今国会に故意に人を死傷させた事件について、犯罪被害者や遺族に在廷する事を認めた上で、被告人に質問し、検察官の論告求刑後、独自に求刑するなどの権限を付与するという法案を、提出する予定である。

 これまで、あまりにも犯罪被害者側の意向が無視され、被害者でありながら、刑事法廷に優先的に傍聴することも、刑事記録を閲覧することもできない。また、被害補償も全くなされないなどの実態を反省して、新たな被害者参加人制度を取り入れようとすることは、確かに、一考に価するし賛成する声も多い。

 しかしながら、弁護士としては、次のようなことを危惧するのである。

 犯罪被害者は、罪を犯した者に対し被害感情を持ち、少なからず報復感情を抱くものであり、そのこと自体は自然であり尊重されるべき心情ではある。

 しかし、そのような犯罪被害者を被告人と対峙する訴訟当事者として手続に位置付けて法定に導き入れることは、被害者の応報感情に火をつけ、攻撃的な関与を法定に流入させることを認めるものであり、裁判官、特に裁判員の当罰感情を必要以上に高ぶらせる事となるのではないか。

 被害者参加人の直接関与により、検察官の訴追活動と異なる被害者参加人の訴訟活動が行われることは容易に予想されるところであり、被告人は、それら全てに対して防御する事を余儀なくされ、防御すべき対象が拡大することとなり、被告人の防御を著しく困難にする。

 これは、複数の被害者参加人の全員に証人尋問権・被告人質問権を認めた場合、争点はさらに複雑化するとともに防御すべき対象が著しく拡大することとなり、被告人の防御に一層支障をきたすとともに、迅速な刑事裁判の要請に反し訴訟の遅延も招く事となるのではないか。

 結局、仙台弁護士会としては、本制度が導入されるときには、被告人が、被害者等から怒りや悲しみなどを前面に打ち出した質問を直接に受けることになり、時には供述したい事を控えざるを得なくなるなど防御活動を萎縮させる可能性が極めて高い。

 また、被害者が在廷すること及び直接に質問または論告求刑を行うことは、特に平成二一年に実施される予定の裁判員裁判においては、裁判員の情緒に強く働きかける結果、証拠に基づいて冷静になされるべき事実認定について不当な影響を与える危険性も強い。

 さらに、被害者等の直接関与により、検察官の訴追活動と異なる被害者等の訴訟活動が行われれば、検察官の訴追方針との不整合が生じ得ることは容易に予想されるところであり、被告人は、それら全てに対して防御する事を余儀なくされ、防御する対象が拡大することとなり、被告人の防御を著しく困難にするという理由で、犯罪被害者参加人制度に反対する決議をあげたのであった。

 ほぼ、一時間にわたって討議したことはとても有意義であったと思う。


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