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2007年10月20日(土曜日)

10月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 14時55分12秒

 裁判では、よく「主位的主張」と「予備的主張」とを使うことがある。

 たとえば、Xは、Yから「本件建物を買った」という主張をしているが、Yが建物の代金なんか受けとっていないと反論すると、Xは、「かりに買ったのではないとしても贈与されたものだ」と主張する。さらに、Yが「贈与なんかしていない」と反論すると、Xは「かりに贈与されていないとしても、自分は一〇年も自分の建物だと思って住んでいるのだから、時効が成立している」と主張する。

 このような場合の「建物を買った」という主張が主位的主張、「かりに……」というのが予備的主張というのである。

 法律家としては、このような二段構え三段構えの主張はごくあたり前のことだが、一般にはなかなか理解されないようだ。

 先日も、私の事務所に実習に来ているロースクール生に問題を出したときのこと。

 「A子は、夫から離婚の請求をされている。夫は愛人を作って一緒に住んでおり、A子は中一と中三の子どもと三人で、精神的にも経済的にもつらい思いをして生活している。二人の子どもも父親を必要としており、とても夫からの離婚に応じるつもりはない。でも、もし夫が、いまA子らが住んでいるマンションのローンの残金五,〇〇〇万円を一度に支払って、マンションの名義をA子にしてくれ、二人の子どもが大学を卒業するまで毎月一人五万円の養育費と、高校・大学の授業料を全部出してくれるなら離婚してもよいと思っている」

 それで、私は、ロースクール生に、主位的には「離婚には応じない」、予備的に「かりに離婚に応じるとすれば、以下の条件で……」という内容で答弁書を書かせることにした。

 しかし、ロースクール生はよく理解できなかったようだ。何回も、「このA子さんは離婚したくないんですよね」と念を押す。「そうよ、だからこそ実現できないような条件を出すんじゃない」と答えるが、離婚したくないのに、一方で離婚の条件を口にすること自体が納得できないようだ。

 刑事事件では予備的主張をすること自体どうかと思われることはよくある。

 たとえば、一,〇〇〇万円を詐取したと訴えられている事件で、主位的には「詐取していない」と主張し、予備的に「かりに、一,〇〇〇万円取ったとしても、その内七〇〇万円は、もともと取る権利のある金だったから詐取したのは残りの三〇〇万円である」と主張することは考えられる。しかしながら、主位的に無罪を主張しながら、「かりに、やったとすれば深く反省している」なんて予備的主張は、これこそまさに論理矛盾である。

 無罪を主張したいという被告人は多い。無銭飲食で訴えられているが、「これは店の親父が私にただでおごってくれたものだ」とか、女性を監禁したということで訴えられているが、「彼女は僕のことが好きでついて来て、勝手に僕のアパートに閉じこもっていたのだ」とかいうのである。

 そんな主張がとおるはずはない。

 それよりも、「反省しています。もう二度としません」と情状を訴えた方が刑が軽くなると思うのだが、被告人が無罪を主張するからには情状論はできない。こんな時、一応ダメモトで無罪は主張するが、予備的に情状酌量を、と訴えたいのだがなぁ、と思うのだ。


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