7月20日
被告人が起訴されるとき、拘留されていて拘置所から刑務官に手錠をかけられて出廷するケースと、初めから拘束されないで調べを受けたり、あるいは保釈されて自宅から出廷するケースと二つある。前者は身柄事件、後者は在宅事件とよぶ。
拘置所内では、ベルトや紐状のものを身につけることは禁止されているので、身柄事件の被告人は、ノーネクタイ、ベルトなし、サンダル履きで出て来るし、在宅事件の被告人は、たいていきちっとネクタイに背広で出廷する。
今日法廷傍聴した事件は、在宅事件なのに、刑務官が被告人を手錠・腰縄で連れて来た。あれ?と思っていると、裁判官の人定質問に答えて、「住所は仙台市若林区古城………宮城刑務所内」と言う。
事件の内容は、強盗で服役中の被告人が、労務に服している最中に、前々から気に入らないと思っていた同じ刑務所仲間の男の顔面を殴打し、鼻の骨を折ったというものであった。なるほど、彼の現在の居所は刑務所で、それで在宅事件なのか、と納得した。
検察官の論告・求刑は厳しいもので、刑務所内での規律を乱したこのような暴力沙汰が大きな暴動に発展しかねない、ということで懲役二年半を求刑した。
被告人は、もともと懲役一二年に服して、いま三年が過ぎたところだという。あと九年のところが、今度の傷害事件で、さらに刑期が延びる訳だ。
弁護人は、殴られた囚人にも落ち度があったこと、いまでは反省していること、さらに被告人は、既に刑務所内で閉居罰五〇日の行政罰を受けており、これは五〇日間、運動や入浴も制限され、じっと正座またはあぐらで過ごさなければならず、かなりきつい罰であることなどを情状として述べていたが、さて、どんな判決になるのだろう。
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