5月10日
仙台弁護士会では、「建築紛争相談」を行っている。
姉歯建築士の偽装事件以後、特に欠陥住宅について関心が高まってきているが、我々弁護士にとって建物の構造、強度、意匠など専門的なことは、どうもわかりにくい。そこで、一級建築士と一緒に相談者の話を聞いて、アドヴァイスしよう、ということなのだ。
今日私は、K建築士と一緒に二人の相談者の話を聞いた。
A子の相談。
A子六八才、同居する八九才の母の介護をしやすくするため、バリアフリーにしたり、手すりを付けたり、自宅を改装することにした。当初一,〇〇〇万円をかけてリフォームするということで、Bホームに頼んだが、最終的には二,六〇〇万円を請求された。A子は、二,六〇〇万円を支払ってしまったが、改装費用が当初の予定より倍以上にもなったことにどうも納得いかない、という相談であった。
いろいろ聞いてみると、A子は、Bホームから、途中で増額になる説明を受けて、確認書に署名・押印している。そして、請求書を受け取った一週間後にはポンと一括で二,六〇〇万円を支払ってしまっているのだ。
K建築士が、内訳を一覧して、多少単価は高いかもしれない、との感想。また、当初の予定より和室を広くしてあるので、増額になったほとんどは、面積拡大部分ではないか、との意見を述べた。私も、もし、不当に高い代金を取られたので返せと請求するなら、具体的に、「これが一般より単価が高い」とか、「これは不要な工事であった」とか、一つ一つ指摘して述べなければならないと説明した。
A子は、とてもそんなことはできない、と頭を抱えて帰って行ったが、それにしても、当初の倍以上の金額をポンと一括で支払うとは何と太っ腹なのだろう。支払う前なら、何とか減額の交渉の余地もあったのに。
C夫の相談。
C夫四五才、自宅の前庭部分に車庫を建ててもらった。一〇〇万円の契約で、手付と中間金合計六〇万円は払ったが、残四〇万円は未だ支払っていない。なぜかというと、「下が平らでない、ビー玉を置いておくとひとりでに転がる」、「ブロックの隙間がきちんと埋められていない、雨水が入り込むのではないか」、「シャッターの上げ下ろしがスムーズにいかない、何かに引っかかるようだ」というもの。そして、外壁ブロックの写真を持参してきた。見てみると、あるかなしかの隙間だ。下の傾斜も、何度と測れる程のものではなく、一ヶ所ビー玉が転がる所があるという程度。また、シャッターも、閉まらないとか、引っかかるというのではなくて、最後にちょっと力を入れなければ下まで下りないという程度のことなのだ。
さて、果たして法律でいう「瑕疵(欠陥)」に当たるであろうか。業者に、隙間と傾斜とシャッターの不具合を指摘して、修補可能かどうかを問い合わせて返事をもらうように、とアドヴァイスしたが、さっきのA子とは正反対に、住居ではなくてガレージなのだから、そこまで神経質にならなくてもという感想を持った。
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