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        <title>離婚ファイル</title>
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        <description>藤田紀子の離婚ファイル</description>
        <lastBuildDate>Wed, 20 Aug 2008 08:03:09 GMT</lastBuildDate>
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        <item>
            <title>婚約破棄の法律問題</title>
            <description>	　よく結婚式に招待されたり、仲人を勤めたりすることがあるが、結ばれた２人の表情は明るく、希望に満ちて輝き、真にホーホツァイト（ドイツ語で最高の時＝結婚式）だなあと思う。
	　しかし世の中には、婚約はしたものの不幸にして結婚に至らなかったカップルがたくさんいる。２人の合意で解約する場合は問題は少ないが、法律的に厄介な問題を残すのは、一方的な婚約破棄の場合である。
	　まず、婚約が成立していたか否かが争われることが多い。結納や指輪の授受があった時ははっきりしているが、２人の口約束だけの場合は、後での立証がむづかしい。
	　次に破棄した者の責任であるが、強制履行を求めることは許されない。結婚は当事者の自由な意思で成立させるべきであって、たとえ婚約者でも、すでに結婚する意思がなくなった者に結婚を強制すべきでないからである。
	しかし、正当な理由がないのに婚約破棄した者は相手方に損害金や慰藉料を支払わなければならない。
	何が正当な理由になるかはむづかしい問題であるが、相手方に莫大な借金があることとか、交際中の異性がいることなどわかって、とても円満な夫婦生活を望めない場合などは正当な理由ありと言えるであろう。
	婚姻後の夫婦の姓をどちらにするか話し合いがつかなくて破談になったケースも時々耳にするが、民法改正で夫婦別姓が認められるようになれば、少なくともこの点でのトラブルは避けられることになるであろう。
	損害金としては、結婚式場の予約金や嫁入道具購入の手付金などが考えられる。
慰藉料の額については一口に言えないが、離婚の慰藉料と比べてずっと低いのが現状である。
	　結納は将来成立すべき結婚生活を目的とする贈与であるから、結婚が不成立に終った時は原則として返還請求できる。
	しかし、結納を出した側が不当に婚約破棄した場合には、それをそのまま損害金や慰藉料に充当させて返還を請求しない、というケースが多い。
	　先日も１つ和解で解決したケースがあったが、見合した相手と交際を続け、結納も済ませて式場予約、親せきや知人に招待状の発送、衣裳合わせと進めていったのに、だんだん相手の男性の態度が冷たくなり、仲人を通して破棄の申入れがあったが、何が原因なのか全く説明も無かった、というケース。
	親せきや友人から送られた祝の品を前に悲嘆に暮れていたが、相手のわがままが許せず意を決して訴訟にしたのであった。
	結局結納金の１００万円に若干プラスした金額の支払を受けることで和解したが、依頼者の女性は未だなかなか諦め切れないようであった。
	私は
	　「一緒になってからこじれて離婚するより、早い内に破談になって再出発できるのだから、
　　むしろよかったとおもわなくちゃ」
	となぐさめたのであったが、年頃の娘を持つ親でもある私としても複雑な気持であった。

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        <item>
            <title>「押してダメなら引いてみな」</title>
            <description>	　私が家庭裁判所の調停委員として関与した事件の話である。
	　Ａ子は、一流バーのホステスとして売れっ子で、客にモテモテでいつも帰宅が遅くなるのを嫉妬した夫が、度々店に来ては嫌がらせをしたり、Ａ子に暴力をふるったりするので、たまりかねてＡ子は家を出て離婚を決意したが、夫が応じないので調停の申立をした。
	それが４月のこと。
	夫は絶対別れないと頑張り、何回か調停がくり返されて双方の言い分を聞く内、夏も秋も過ぎて初冬にさしかかったある日の調停のこと。
	　雪がちらほらする中をコートも無しで出て来た夫は、これ以上頑張ってもＡ子の気持を変えることはできないとわかって、離婚に応じるつもりでいた。
	二人の間には子どもも居らず、財産的な問題も無かったので、次回に離婚届を用意して協議離婚を成立させようということになった（同じ離婚でも戸籍記載の体裁上、調停離婚ではなしに協議離婚の形をとりたいと思う人が結構多い）。
	　帰りがけにＡ子は夫に声をかけた。
	　Ａ子「あんた、寒そうな格好して。コート着ないの？」
	　夫　「お前が出て行った後、どこに何があるのかさっぱりわからなくて不便してるんだ」
	　Ａ子「んじゃ、これから私、あんたの家に行って冬物出してあげるから」
	　さて、最後の調停の日、Ａ子は夫のもとに戻ることにして離婚の調停を取り下げた。
夫の気持の中には明確には「押してダメなら引いてみな」というかけひきは無かったとは思うが、私はこの事件とこの格言をいつもセットで思い出すのである。
	　昨日も１つ離婚の調停が成立した。
	　これは、私は妻の方の代理人であったが、妻の言い分は、夫の煮えきらない態度、いつも姑の味方ばかりで妻の言い分を何一つ聞いてくれないこと、ケチでこうるさくて子ども達にもいつも経済的にがまんをさせることが多くて、父親として失格なこと、従って慰藉料と財産分与と合わせて少なくとも２０００万円は請求して離婚したいというものであった。
	夫の性格からして調停は難航することが予想されたが、何と夫は、２回目の調停で妻の要求に応じ、妻の方が細かいこと、例えば家具は何が欲しい、車の名義をかえてくれ、子どもの生命保険の受取人を自分にしてほしい等という要望を出したのに対し、実におうような態度で、「あっ、いいよ」とうなづくのである。
	　帰りがけに、妻がぽつんと言った。
	　「早まったかな」
	　人間の気持は実に微妙なものである。

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        <item>
            <title>夫婦の別居期間</title>
            <description>	　男性Ａは、妻子がありながら、行きつけのバーのホステスと深い仲になり、結婚を約束した。妻に離婚してほしいと頼んだが、妻は聞き入れてくれない。
	そこで、Ａは、家を出てホステスと同棲を始めた。何回か妻に離婚を迫って調停も出したが、妻が応じないので、５年後Ａは妻を相手に離婚の裁判を起こした。
	　このような場合、裁判でＡの主張を認めることはＡのわがままを許し、いかにも妻がかわいそうだと誰もが思うことでしょう。
	日本の裁判の考え方も、責任ある者からの離婚の請求は許されないという、いわゆる有責主義をとって、ずっとＡの請求を認めない立場を貫いて来た。
	　これに反し、いわゆる破綻主義の考え方は、どちらに責任があろうと夫婦の間が破綻していれば離婚せざるを得ない、というもので、イギリス、ドイツ、アメリカなど多くの国でこの考え方がとられている。
	その場合、破綻の原因を作った方が相手に対して慰藉料を支払うのは当然であるが、お金のある人はいいとして、無い場合はどうしても十分な慰藉料を夫から取れないまま離婚になるケースが多い。
	そこで最近アメリカでは、やはり有責主義をとった方がよいのではないかという議論が持ち上がっているという。
	　日本では今、離婚制度の見直しが審議されていて、５年間程度別居している場合には、これを離婚原因としようという方向で改正される可能性が強い。
	その背景には、最近ではむしろ妻から夫に対して離婚を要求するケースが多く、昔と比べて妻の経済力や社会的地位もずっと強化されたのであるから、もはや棄妻防止という有責主義の効果を考える必要はなくなった、という事情がある。
	　果たしてそうであろうか。
	　先日私のところに相談に来た女性は、看護学校に通ういわゆる学生妻で、医者である夫の助けになろうと勉強中であるが、夫に女医さんの愛人ができて、
	「もうお前は必要でなくなった」
	と言われ、離婚を迫られているという。
	夫は、女医さんと同棲していて、彼女には最低限度の生活費しか送金しない、彼女は妊娠４ヶ月で、夫が自分の元にもどって来るのを信じて待っているというが、こんな状態がいつまでも続くと、否応なしに離婚になってしまうのでしょうか、と不安を訴えている。
	このようなケースもまだまだ日本には多いことを考えると、私はいちがいに改正案に賛成することはできない。
	　皆さんはどう思われますか。

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        <item>
            <title>不貞の慰藉料</title>
            <description>	　男性に妻がいることを知っていながら、その男性と関係を持った女性は、妻の座を侵害して妻に精神的苦痛をこうむらせた、という理由で慰藉料の支払義務がある場合が多い。
	不貞の慰藉料といわれるものだが、これがいったいいくら位が相当なのかよく聞かれる。しかし、ケースバイケースで一口にいくらとは言えない。
	　私の取り扱ったケースで、最高は９００万円であった。
	　これは、夫が下請建築会社の社長で妻との間に３人の子どもがいるのに、元請会社の社長の娘と愛人関係になって、子どももできた。妻には出張だとか現場に泊り込むなどとウソを言っては、愛人宅に泊っていた。
また、愛人名義で土地を購入して、資材置場にして愛人に賃料を払い、さらに、愛人を社員扱いにして給与も払っていた。
妻は夫を信じて、姑とも仲良く暮らし、育児に専念していたが、会社の従業員の口から愛人がいるのを聞いて事態が明らかになった、というケース。
	　今までウソを通して来た夫は、事が明らかになった時、愛人を選択して妻に対して離婚調停の申立をしたが妻は離婚には応ぜず、かえって愛人に１０００万円の慰藉料の請求をしたところ、判決で９００万円が認められたのである。
	　私の取り扱ったケースで、最低は３０万円。
	　これは、夫が医者で看護婦と愛人関係になって、子どもができ結婚の約束をしながら、なかなか妻と別れてくれないので、業を煮やした看護婦が、直接妻に
「早く別れてほしい」
と談判し、妻に初めて愛人の存在がわかった、というケース。
	　このケースでは、夫が妻を選択し、
「愛人関係を清算したいと思っていたが、バラすと言われてできなかった。今度こそ手を切る」
と妻に謝って５００万円の自分の定期預金を妻に渡したので、妻は夫を許して離婚は思いとどまり、看護婦に５００万円の慰藉料を請求したが、判決で３０万円しか認められなかった。
妻はこれを不服として控訴したが、控訴審でも５０万円しか認められなかった。
	　この様に様々なケースがあるので一概にいくらと言えないのであるが、聞くところによると、ドイツやフランスでは、日本と違って愛人に不貞の慰藉料支払義務はないという。夫婦間では守操義務があって、これに違反した場合、配偶者に慰藉料を支払わなければならないのは日本の法律と同じであるが、配偶者の愛人は、いわば恋愛の自由という名のもとに行動したのであるから何ら債務は発生しないというのである。
	　これを聞いて、
「私もドイツやフランスに生まれたかったわ」
という女性もいるが、妻の地位が日本と比べると不安定であるから、他の女性に夫をとられないように結婚後も妻は自分の魅力を維持するよう努めなければならないのも事実であろう。
	　あなたはどちらに生まれたかった？

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        <item>
            <title>夫のある夫人が「結婚詐欺に遭った」</title>
            <description>	　恋愛に年齢はないというけれど……。
	　先日、私の事務所に訪れて来たのは、初老の美しい夫人Ａ子。
歳を聞くと、６４歳とのことだった。
	　Ａ子が、「詐欺にあったから訴えたい」と言うので、てっきりお金か何かを取られたのかと思ったら、
そうではない。
	結婚詐欺だという。
	　付き合っていた５５歳の男性Ｂ男と近いうちに結婚する約束だったが、その彼から、
	「あなたみたいな人が、国分町に店を持ったらはやる」
	と言われ、彼が借りたバーで、いわば雇われママさんとして働いた。
	常連客もできて、まあまあの経済状態だった。
	さらに、日中は彼のマンションに行って、掃除や洗濯もして、ひらすら彼に尽くして来た。
	「それなのに、あぁ、その彼は、ダンスホールで知り合った若い女（４７歳の美容師だという）の方が
良くなってしまって、私を捨ててしまったのです」
	　Ａ子と結婚の約束までしながら、Ｂ男は、今では国分町の店も売ってしまって、Ａ子とは一切関わりを
持ちたくないという冷たい態度ならしい。
	「彼が、今は新しい彼女と毎日ダンスをして食事をして、あのマンションに彼女を泊めて……と想像すると、
嫉妬で気も狂いそうだ。この悔しい気持ちを思うと、１０００万円でも慰藉料を取ってやりたい」
	という話だった。
	　私　「何で彼とは結婚しなかったのですか」
	　Ａ子「それは……、私に夫がいるものですから……」
	　私　「えーっ？それじゃ、あなたの方が結婚詐欺じゃない」
	　Ａ子「そんなことはありません。彼は、私に夫がいることを知っていましたし、
　　　　それに、私は、いつでも夫に離婚届にハンコを押させる自信がありました。
　　　　夫は、何でも私に逆らえない人なのです。ただ、夫に離婚の話を言いそびれて
　　　　いるうちに……」
	　私　「夫のある人との結婚は成り立ちませんよ。だから、当然あなたは結婚不履行を理由
　　　に慰藉料なんか請求できませんよ」
	　Ａ子「それじゃ、せめて労賃を請求できませんか。私は、２年間彼の身の回りの世話を
　　　　して尽くしたのですから」
	　私　「それも無理でしょうね。初めにきちんと雇用契約があったわけではないのだから」
	　諦めて帰りかけたＡ子に、私が言った次の言葉がまずかった。
	　「もっとも、あなたの夫からなら、彼に対して夫の座を侵害されたとして慰藉料の請求ができる
　　かもしれませんが」
	　数日後Ａ子は、夫を連れて私の事務所にやって来た。
	　「この人から彼に慰藉料の請求をさせます。先生、裁判を起こして下さい」
	　借りてきた猫のように小さくなって何もしゃべらず、ただただうなずいてばかりいるＡ子の夫は、
哀れであった。
	　私は、訴えを起こすことがこの哀れな夫のためになるとは、到底思われなかったので、お断りした。

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        <item>
            <title>別れた夫婦の間の子ども</title>
            <description>	　夫婦の間で離婚の合意はできているが、その間の子どもの親権者をめぐって話し合いがつかず、調停に持ち込まれるケースが多い。
	たいていは取り合いである。調停でも話がつかない時は、家庭裁判所が審判で決めるが、その時裁判所が考慮する内容としては先ず愛情。
	しかしながら、この愛情というのはなかなか目に見えないもので、絶対子どもを手放したくないと言っている父親の本音は、養育費を払いたくないから、ということもある。逆に、母親の方が、子どもは夫にやるという本音が、子どもが嫌いなのではなくて、夫が愛人と一緒に暮らすのを妨害したいから、ということもあって、言葉の裏にある真の愛情を見定めるのがむづかしい。
	　次に子どもの年令。生まれて間もない乳呑み子は、たいてい母親が親権者となるであろうし、子どもが大きくなって自分の意思をはっきりさせることができるようであれば、その意思を重視する。
	それから現況、つまり、子どもが現在誰と同居しているか、これが裁判所の判断の重要な要素となる。
	だから母親が子どもを連れて実家なりアパートなりで別居するようになったか、子どもを夫のもとに置いて自分だけ家を出たかでずい分ちがって来るのである。
	　それを当事者も知っているから、すさまじい子どもの取り合いとなる。今でも印象に残っている事案を紹介しよう。
	　農家に嫁いだＡ子は、姑の冷たい仕打ちにがまんできず、２歳の男の子（仮にアキラとする）を連れて実家に帰った。
嫁ぎ先のＢ家では、Ａ子と離婚するのはいいが、後継ぎ息子だけはやれない、という訳で、アキラが保育所の砂場で遊んでいるすきに連れ戻した。
	今度は、Ａ子が何とかアキラを連れ戻したいと何回もＢ家のまわりを徘徊してすきを狙っているが、Ｂ家では、それを予想していつも姑がアキラをおんぶして片時も離さない。
思い余ったＡ子は、ある時包丁を隠し持って行って、姑のおぶい紐を切って泣き叫ぶアキラを奪い返した。
	　ＢからＡ子に対して人身保護法による救済の請求がなされ、この事件で私は、子どものための国選代理人になったが、結局は離婚事件の方で和解が成立した。
	アキラの戸籍上の親権者にはＢがなったが、毎日養育監護するのはＡ子になった。
	そして、１ヵ月に最低１回はＢはアキラに会う機会を確保して、父子の接触をはかることとなった。また、当然ＢからＡ子にアキラの扶養料も毎月支払うこととなった。妥当な解決であったと思う。
	　夫婦は離婚してアカの他人になるが、親子の縁は切れない。そこで、いつも問題となるのが離婚した配偶者のもとにいる子どもとの面接権である。
	たいていは子どもは母親のもとにいて、父親から面接を求められるが、会わせたがらない母親が多い。その理由は、せっかくたてた教育方針やしつけをたまに会う父親が甘い顔をしてダメにしてしまうからとか、父親が子どもに「お前のお母さんは浮気な女だったよ」などと悪口を言うからとか、別れた夫のことはすっかり忘れてしまいたいから、など様々であるが、私は、原則としてできるだけ会わせる方がよいと考える。
	自分にとっては憎くて別れた夫でも子どもにとっては一人しかいない父親で、成長の過程で父親に相談したいことも出て来るだろう。
	また、父親も定期的に子どもに会うことによって、子どもが大きくなってたくさん食べ、進学もしたい、旅行にも行きたいという希望を理解して毎月の養育費を増額してやろうかという気にもなるのである。
	別れた夫婦が、子どもと一緒に食事をしながらその後の苦労話などを語り合う、というのもいいではないか。

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            <title>冷たい母と孫思いのおばあちゃん</title>
            <description>	　親、特に母親が未成熟の子を保育・監護することは自然の本能だと言われてきた。ところが、最近の相談の事例をみると、必ずしもそうとは言えないのではないかと思われる。
	　先日私の事務所を訪れたのは初老の婦人で、相談内容は次のようなことであった。
	「娘のＡ子が、夫と離婚した。どうも原因はＡ子の不倫が夫にバレたことらしい。Ａ子夫婦はずっと共働きだったので、生まれた子（仮に「健太」とする）は、ずっと祖母である私が育てて来た。今回の離婚の際、Ａ子は新しい恋人と一緒になるのに、子どもはいらないというし、Ａ子の夫も、『不倫するような女に子どもは預けられない』ということで、親権者は父ということにした。ところが健太は私の家を離れたくなくて、毎日『おばあちゃん、お願いだからボクをずっとここのおうちに置いてくれ』と泣いている。健太の父親が、何回もうちに来て子どもを引き取りたいと言うので、健太はいつもおびえて幼稚園にも行かないようになってしまった。私も健太を手許から放したくないので、健太の父親に何とかしばらくはこのままの状態にしておいてくれと頼むのだが、彼は裁判にかけて子どもを取ってやる、と言っている。どうしたらよいのでしょう。」
	　子どもの両親が夫婦である場合は、両親が共同して親権を行うが、両親が離婚する場合には、その一方だけが親権者となる。そして、親権者となった者が子どもと同居して、実際に監護・保育・教育するのが普通である。もし、未成年者に対して親権を行う者がないとき（例えば死亡、親権の喪失親権を濫用し、または著しく不行跡があって家庭裁判所が親権の喪失を宣告した時など）は、祖父母が後見人として未成年と同居して監護等できるが、本件の場合、健太の父親が親権者であるからには、祖母には健太の後見人になる方法はないのである。
	　健太の父が、「裁判」と言っているのは多分、子どもの引渡しの請求のことと思われるが、この裁判では勝っても強制的に子どもを連れて行くことはできず、子どもを引き渡さない時は１日当たり金○○円を支払え、といういわゆる間接強制の方法によらざるを得ない。
	　Ａ子に考え直してもらって、Ａ子の申立で「親権者変更の申立」を出して協議するしかないと答えたものの、Ａ子は、今や好きな彼氏と二人でルンルン気分で全く健太のことは眼中にないそうで、健太と祖母が夜も眠れぬ毎日を送っているのである。
	　母性は本能ではないのか……。

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            <title>ぬれ落葉予備軍</title>
            <description>	　日本人はよく働く。特に日本人男性は実によく会社のために働く。勤めている男性が「ウチでは」という場合は、自分の家庭ではなく、自分の会社や役所のことである。残業に精を出し、土曜・日曜も接待ゴルフや飲み会で、ほとんど家に居ない。
	　そんな夫に妻は当然不満を持って、いろいろとぶつけるが、夫は、「僕は今会社で非常に重要な責任を負わされているんだ、わかってくれ、僕が一生懸命働くことはキミや子供達の幸せにもつながることなんだからね」と説得して、相変らずの会社人間ぶりである。
	　しかし、日本の妻達は強い。当初は、何とか夫と共通の話題や楽しみを持とうと努力した妻達も、ある段階でさっさと夫に見切りをつけ、自分自身で楽しむことを見つける。スポーツのサークルに入ったり、カルチャーセンターに通ったり、パートに出たり、そして、そこで気の合った仲間を見つけて、一緒に食事したり、旅行に行く計画をたてたりする。また、同じ趣味の仲間と音楽会や観劇にに行く。
	　夫達がひたすら会社で働いている間に、妻達の文化程度や知識は高まっていく。
	　さて、夫が定年退職してもはや会社に行く必要がなくなると、とたんに何もすることがなくなり、所在なく妻にくっついて歩く。しかし、一緒に音楽を聴いても絵を見ても、夫は到底妻の知識にかなわない。
	　妻の方も、夫と一緒に夫の世話をしながら旅行するよりは、気の合った女友達同志で旅行する方がずっと楽しい。
	　こうして、ぬれ落葉となった夫と、すっかり夫ぬきで楽しむことを覚えた妻との不協和音が始まるのであるが、利口な妻は、夫が退職する前に、夫の退職金を仮差押して離婚の調停の申立をする。拾いあげれば小さなことでも、離婚の材料はたくさんある。今まで大目に見て来た夫の浮気の１つや２つ、酔って妻を殴った、疲れているといって性交拒否、等々。
	　夫の方も、今までは多少良心の呵責を感じていたが、退職したら退職金で女房を世界旅行に連れて行ってやろうと思っている。しかし遅いのだ。そして、女房はわかっていて許してくれているのだと思い続けている夫の考えが甘いのだ。退職金を目前に、妻は敢然と今までの労苦の数々をあげて自分の取り分を主張し、離婚の考えをくずさない。
	　私は、これをぬれ落葉予備軍離婚と名付けているが、この夫婦はどの段階で修復不可能になってしまったのだろうと考えさせられる。子ども達が独立した頃かもっと前か、夫が課長になった頃か、いやそもそも結婚当初からか……。

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        </item>
        <item>
            <title>マザコンの夫</title>
            <description>	　昔は娘を嫁に出す時、親は言ったものだ。
	　「お前は○○家の嫁になったのだから、○○家の家風になじむように努めるんだよ。つらいことがあっても、じっと辛抱すれば、だんだんお前も○○家の嫁として認められていくからね。決して、実家に戻りたいなどと思うんじゃないよ」。
	　今は娘を嫁に出す時、親は言う。「お前の部屋はそのまま残しておくからね。いやなことがあったらいつでも帰っておいで。お父さんもお母さんも暖かく迎えてあげるからね」。
	　ひところ前のように出戻りに対する偏見がなくなった。「出戻り」という言葉も死語に等しくなった。だんだん子どもの数が減少して、親子の関係が密になり、特に結婚してからもマザコンから脱し切れない男が多くなった。
	　夫は朝出がけに実家の母親に電話する。
	「お母さん、ボクこれから会社に行くところ。昨晩お母さん風邪気味だって言ってたけど、今朝はどう？大丈夫？ボク電話でお母さんの風邪うつったのかな。頭が痛くて、熱っぽくて、何だか会社に行きたくないな」、
	「△△ちゃん、そんなこと言わないでちゃんと会社に行きなさい」
	「はーい、お母さん、わかりました。じゃあ行って来ます」。
	　帰宅すると、また実家の母親に電話する。
	「お母さん、ボク今帰ったところ。会社で頭痛くて早退したいなと思ったけど、とうとう５時までがんばったよ、ボク。えらかったでしょ」。
	　そんな男は妻にも要求する。
	「ボクのお母さんは、ボクをキミにとられたと思ってとても寂しい思いをしてかわいそうなんだよ。だからキミもボクの実家にはうんと尽くしてもらわないと困るよ」。
	　だんだん離婚事件が増えて来た。特に妻からの離婚請求が多い。その原因の一つに、夫のマザコンがある。法律で定められている離婚原因は、不貞、悪意の遺棄など５項目でその内の１つは「婚姻を継続し難い重大な事由」であるが、これに夫のマザコンが該当するか否かは一概に言えない。それ以外は何も文句の言いようがないのに……というケースが多いからだ。そして、これは、夫が飲んだくれるとか、競輪競馬に凝って生活費を妻に渡さないとかいうケースと違って夫に罪の意識がないので、夫に反省を求めて改善させるということもむづかしい。結婚前に冬彦さんをつかまないように男性を見る目を養うことが大切であろう。

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        <item>
            <title>妻の不倫</title>
            <description>	　男の嫉妬は恐ろしい。
	　「交際していた女性の心変わりを恨んで刺殺！」とか、「三角関係を解消しようとして、話し合いの途中逆上して刃物をふるう！」等という見出しが新聞を賑わしているのは、今に始まったことではないが、私の事務所に持ち込まれるのは、殺傷沙汰の刑事事件ではなくて、慰藉料請求や離婚の民事事件が多い。
	　弁護士の仕事をして２０数年、妻の不倫（法律用語では「不貞」という）が、年々多くなっていること、しかも、不貞を働いた妻からの離婚申立が多いこと。それにもかかわらず、協議離婚に応じない夫の多いこと、が私の実感である。
	　あるケース。長距離トラックの運転手である夫が、早朝家を出たが、「もしや、オレのいない間に……」と妻を疑い出したら、いてもたっても居られず、高速道路を引き返して猛スピードで家に戻ってみると、案の定、妻が愛人を家に呼び入れていた。
	　夫は、妻の相手の男をつかまえて、住所・氏名を聞き出し、５００万円の慰藉料の請求書をつきつけた。妻は、そんな夫に嫌気がさし、離婚を決意するが、夫は意地でも別れない。
	　「毎日夫にいじめられてつらい。何とか夫と別れたい」と妻が相談に来たが、不貞を働いた妻からの離婚の申立が裁判で認められることは難しいだけに、にわかに良い解決方法はない。
	　別のケース。妻が、勤務先の若い販売員と深い関係になったことを、夫が妻の書いたラブレターの下書きから知り、これを高校１年と３年の２人の息子にも教えて、３人で不貞の妻を責める。それだけでなく、妻の両親から慰藉料と称して２００万円を取り立てた。妻は、反省しているが、許してもらえないので、いっそのこと離婚したいという相談である。
	　これも、前のケースと同様、夫が協議離婚に応ぜず、示談が難航している。
	　こんな家庭は冷え切っていて、いわば、家庭内別居の状態にあり、夫にとっても良いはずはないのだが、夫が離婚に応じないのは、意地かメンツか、それとも深い深い愛情なのだろうか……。
	　私にはわからない。

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